3 Minutes NetWorking
No.17

3MinutesNetWorking

第17回レイヤ2 ブリッジ

■ レイヤ2 ネットワーキング・デバイス

インター博士

ネット君。レイヤ2のネットワーキング・デバイスは何かね?

ネット助手

はぅ?
え~っと…。

インター博士

第7回でやっただろう。
もう忘れたのか? …とすまん、君はネット君だったな

ネット助手

そうですよ、博士。僕が10回も前のこと覚えてるわけがないじゃないですか…。
…、覚えてますよっ!

インター博士

まさか!?
ネット君、冗談が上手くなったな

ネット助手

ブリッジスイッチですよね。
ほら、ちゃんと覚えてるでしょ。

インター博士

そうか。どうも最近おかしいと思ってたのだよ。
ニセ者めっ、正体を現せっ!!

ネット助手

ぐっ、ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

インター博士

これが最後のニセ者とは思えない。きっと第二、第三の…。

ネット助手

…、マジメにやりましょうよ、博士。

インター博士

そうだな。
今日はブリッジの説明をする。

ネット助手

え~っと、「とあるルールにのっとって、データを通す・通さないという制御を行う」と第7回でおっしゃってますけど?

インター博士

うむ。
ブリッジは、ハブよりインテリジェントなネットワーキング・デバイスなのだ。

ネット助手

いんてりじぇんと?

インター博士

つまり、ハブのようにきた信号をそのまま流すのではなく、何かしらの制御を行う賢いデバイス、という意味だ。

ネット助手

賢いんですか。

インター博士

賢いのだよ。
ネット君もそう言われてみたいだろう

ネット助手

えぇ。それについては全然同意します。

■ ソースルートとトランスペアレント

インター博士

まず、ブリッジという名前の由来から話そう。
普通にブリッジと言った場合どういう意味だ?

ネット助手

[bridge]ですよね。
橋?

インター博士

そうだ、だ。つまり、2つのLANの架け橋となる。
LANとLANを繋ぐネットワーキング・デバイスだな。

ネット助手

ハブでは駄目なんですか?
ハブで、2つのLANを繋ぐこともできますよね。

インター博士

ハブは来た信号をそのまま流してしまうと何度も言っているだろう。
つまり、ハブでつないでしまったなら、ハブのこっち側と向こう側に違いはない1つのLANだ

ネット助手

あぅ。そういえば、衝突ドメインがどうこうって話をしてましたね。

インター博士

そうだ。衝突ドメインのようなネットワークの区切りをセグメントというが、2つのセグメントを繋げるのがブリッジの役割なのだ。

ネット助手

2つだけですか?

インター博士

2つと決まったわけではないが。
あまり多くのセグメントを繋げる製品は出てないな。

ネット助手

はぁ。

インター博士

ブリッジには、大きく分けて4種類ある。繋げるセグメントの違いで判断する。
まず、ソースルート・ブリッジ

ネット助手

そーするーと?

インター博士

IEEE802.5(トークンリング)同士を繋げるブリッジだ。
かなり特殊な制御を行う。

ソースルートブリッジ

[Figure17-01:ソースルートブリッジ]

インター博士

ソースルート・ブリッジは、他リング宛のパケットを受け取ると、全ルート探索パケットというのを使って、宛先までのすべての道筋(ルート)を探しだす。
それをルーティング情報として表を持つ。

ネット助手

なんか、すごく賢いですね。

インター博士

その表にしたがい、宛先までパケットを中継していく。
例えば、上の図のAからBまでパケットを運ぶ場合。下の3つのリングを経由していくより、上の1つのリングを経由した方が速いだろう?

ネット助手

そうなりますね。

インター博士

なので、パケットを受け取ったブリッジ1は、ブリッジ2宛にパケットをおくり、上側のルートを通ってBがいるリングまでデータを送る。ブリッジ3が先にパケットを受け取っても、ブリッジ2経由の方が速いのがわかっているので、ブリッジ4には送らない。

ネット助手

なるほど。ルートを決定するんですか。
って、あれ? ルートを決定するってルータというデバイスだった気が?

インター博士

確かに似たような事をルータも行うが、こちらの方がかなり力技だな。
2つ目がトランスペアレント・ブリッジ

ネット助手

とらんすぺあれんと? また聞きなれない言葉ですね。

インター博士

これは同じアクセス制御方式のセグメントを繋ぐ。例えば、イーサネットとイーサネット、FDDIとFDDIなどだ。
逆に異なる方式を繋ぐのを変換ブリッジという。

ネット助手

ははぁ、最後の1つは?

インター博士

エンキャプスレーション・ブリッジという。
これは2つの同じ制御方式のセグメントを、間にWANなどを通して中継するためのブリッジだ。

エンキャプスレーションブリッジ

[Figure17-02:エンキャプスレーションブリッジ]

ネット助手

それぞれ違うんですよね。覚えるの大変そうだ。

インター博士

今回はやはりイーサネット同士を結ぶ、トランスペアレント・ブリッジを詳しく説明していく。
やはりイーサネットが主流であるし、次のスイッチにも繋がる話になるのでな。

ネット助手

了解ッス。

■ MACアドレス フィルタリング

インター博士

さて、ブリッジのことをインテリジェンスと言ったのは、受け取ったフレームを解析して、それをもとに制御するからだ。

ネット助手

フレームを解析して、制御?

インター博士

そうだ。
受け取ったフレームから宛先MACアドレスを読み取る

ネット助手

はい。それで?

インター博士

宛先が受け取った側にあった場合、他へ流さない。

ネット助手

受け取った側にあった場合?

インター博士

こういうことだ。

[Figure17-03:ブリッジの動作]

ネット助手

え~。
内部への通信は外へ出さないようにするってことですか?

インター博士

その通りだ。
ブリッジを通過できるかどうか、MACアドレスで判断する。

ネット助手

宛先が同じセグメントの場合は通過できないのですね。

インター博士

このように、フレームを通過させる、させないという行動をすることをフィルタリングという。

ネット助手

ふぃるたりんぐ?

インター博士

日本語に直訳すると、濾過だな。
ブリッジという濾紙で、通すフレームと通さないフレームを濾すということだ。

ネット助手

なるほど、濾過ですか。それはわかり易いたとえですね。
そういえば、どうやって宛先が向こう側にいると判断するのですか?

インター博士

ブリッジは、ポート毎にアドレステーブルを持つ。
つまり、そのポートと接続しているデバイスを覚えるのだ。

[Figure17-04:MACアドレスの学習]

インター博士

このように、通っていったフレームから覚える
そして、フレームを受信したポートのアドレステーブルに宛先があれば…。

ネット助手

そのフレームの宛先は内側ってことになるんですね。
なんだか、橋っていうより、関所みたいですね。

インター博士

なかなか微妙な表現だな。
つまりこういうことか。旅人がA町とB町を繋ぐ関所に、そうだなA町側から来たとする。A町側に立っている関所の番人は、旅人に何処に行くのかを聞く。

ネット助手

A町側の関所の番人は、A町の地名を知っている、と。
それで旅人の行き先が、知っている地名(A町内)の場合…。

インター博士

そこから先は通さない。自分の知らない地名の場合は、先へ通す。
うむ、なかなか的確な表現かもしれん。

ネット助手

えへへ。

インター博士

ポイントとして、ブリッジはどのポートに宛先があるかまでは知らないという所だな。
止めるか、通すかの二択しか行わない。

ネット助手

そうですよね。

インター博士

受信したポートが知らない宛先アドレスは、他ポートから送信する
例えば、下の図を見てくれ。

ブリッジのフォワーディング

[Figure17-05:ブリッジのフォワーディング]

インター博士

AからC宛にフレームが送られたとする。ブリッジはA側に宛先がない事を知っている。
そうすると、Dがいるセグメントにまでフレームを送る。

ネット助手

ははぁ。ほんとに止めるか、通すかしか行わないんですね。

■ ブリッジの利点

インター博士

このように、ブリッジはセグメントの内側向けの通信を外に出さないわけだ。
そうすると、どうなる?

ネット助手

どうなるって…。どうなるんでしょう?

インター博士

すぐに聞くのはよろしくないな。もう少し考えたまえ。
感じるんじゃない、考えるんだ

ネット助手

博士、です、それは。

インター博士

功夫は水だ…
ネット君は、ネットワークの功夫が足りないな。

ネット助手

うぅ、言われても反論できないのが悲しい現実。

インター博士

現実はいつだって悲しいものだ。
ともかく、セグメント内の通信が外へ出て行かない、裏を返せば他のセグメント宛のデータがあまり入り込まなくなるということだ。

ネット助手

あ~、なるほど。
自分のセグメント宛のデータが外へ出て行かないということは、他のセグメントから見れば余計なデータはブリッジで止められて来なくなるということになりますね。

[Figure17-06:ブリッジによるトラフィックの減少]

インター博士

つまり、ネットワーク全体のトラフィックが減る
それは衝突の可能性が減るということだ。

ネット助手

全体の通信量が減れば、ぶつかる可能性も確かに減りますね。

インター博士

さらに、衝突の際発生するJAM信号や衝突で壊れたデータもブリッジで止められる
ということは…。

ネット助手

ということは?

インター博士

隣のセグメントの衝突を気にしなくてすむ、ということだな。
つまり衝突の影響範囲がブリッジで区切られる。

ネット助手

衝突の影響範囲・・・。
衝突ドメイン!! 衝突ドメインが区切られるってことですねっ!

インター博士

ほほぅ。その通りだ。
よくできた。

ネット助手

えへへ。

インター博士

衝突ドメインを区切ることができるということは、ブリッジをつかうとセグメント内の通信効率を上げることができるということだ。
他からデータが入り込みにくい、隣の衝突の影響を受けないということだからな。

ネット助手

なるほど。

■ ブリッジの欠点と限界

インター博士

ただし、ブリッジはいいことばかりではない。
それはブリッジはフレームを読み取るということから来ている。

ネット助手

え? だって読み取るからMACアドレスによるフィルタリングができるんでしょう?

インター博士

その通りだ。
だが、読み取る時間が必要になるという側面を持っている。

ネット助手

それはそうですけど。
仕方のないことでしょう?

インター博士

確かにそうなのだが。受けた信号をそのまま流すハブにくらべ、10%~30%ぐらい遅くなるのだよ。
つまりブリッジはネットワーク全体に遅延を発生させる

ネット助手

ん~。セグメント内の通信効率を上げるけど。
全体としてみると、遅くなるってことですか。

インター博士

そうだ。
だが衝突が多発するより圧倒的にマシなのだよ。

ネット助手

衝突は完全に通信できなくなってしまいますものね。

インター博士

うむ。
あと、ブリッジはそのセグメントの内側向けのフレームは止める。

ネット助手

そう教えていただきましたが、何か?

インター博士

現在のTCP/IPやWindowsのネットワークでは、すべての機器宛の通信が意外と多い。

ネット助手

すべての機器宛…。
ブロードキャストでしたっけ?

インター博士

そうだ。
ブリッジではブロードキャストを止めることができないという事になる。

ネット助手

セグメント内側向けしかとめれないから、内側と外側双方宛のブロードキャストは止めれないってことですか。

インター博士

うむ。それがブリッジの限界なのだよ。

ネット助手

ははぁ。

インター博士

今回はずいぶん長かったな。
次回はもう1つのレイヤ2のネットワーキングデバイス、スイッチの説明だ。

ネット助手

いぇっさ~。
3分間ネットワーキングでした~♪

インテリジェント
[intelligent]
知能のある、知性的な。
セグメント
[segment]
ルータ、ブリッジ、スイッチによって分断されたネットワークの区切り。
衝突ドメインとほぼ同意義
なお、レイヤ4でカプセル化されたデータパケットもセグメントと呼ぶので注意が必要。
ソースルートブリッジ
[Source-route bridge]
略称SRB。
全ルート検索パケット
[all-routes explorer packet]
全リングに対してブロードキャストされます。受け取った宛先は返答を返しますが、一番速く返答が帰ってきたルートを最短ルートとして表に載せます。
ルーティング情報
[Routing Information Field]
ルータが持つルーティングテーブルとは別物。
トランスペアレントブリッジ
[transparent bridge]
トランスペアレントとは「透過的」という意味。
ソースルートほど制御を行わず「透過」させる。
変換ブリッジ
SRTB[Source-route transparent bridge]など。
エンキャプスレーションブリッジ
[Encapsulation Bridge]
WAN用にカプセル化[Encapsulation]するブリッジ。
フィルタリング
[filtering]
濾過器にかける、濾過する。
感じるんじゃない…
Don't feel. think.
Don't think. feel.
トラフィック
[traffic]
交通量。ネットワークではメディア上を流れる通信量という意味。
読み取る時間が…
・宛先MACアドレス読み取り
・送信元MACアドレスをアドレステーブルに記憶
・エラーチェック
などを実行します。
ネット助手ネット君の今日のポイント
  • ブリッジはセグメントを繋げる橋。
  • ソースルート、トランスペアレント、変換、エンキャプスレーションの4種類のブリッジがある。
  • MACアドレスフィルタリングを行う。
    • 宛先が同一セグメント内の場合、他セグメントへそのデータを流さない。
    • 通過したフレームのMACアドレスを読み取り、アドレステーブルを作成する。
  • ブリッジは衝突ドメインを分割することにより、利用効率を上昇させる。
  • フレーム読み取りの時間分だけ遅延が発生する。
  • ブロードキャストを止めることができない。

3 Minutes NetWorking No.17

管理人:aji-ssz(at)selene.is.dream.jp