■ ネットワークの構成図
今まで、メディアだの、信号だのそういう話ばかりだったな。
レイヤ1ってそういうのが決められている層なんですから、そうなるでしょうね。
今回は、実際のコンピュータと機器、そしてメディアの配置という観点からネットワークを語ってみたい。
「語ってみたい」だなんて、らしくない出だしですね。
余計なお世話だ。
ま、たまにはな。
いつもそういう落ち着いた感じがあれば、博士も結構イケてるのに。
何か言ったかね?
いえ、博士はいつも博士ですね、と。
何を当たり前のことを言っているのだ。
ま、ともかく。物理的な配置の話だ。
はい。
実際の機器とメディアの配置のことを、物理トポロジという。
位相幾何学?
難しい言葉を知っているな。確かにトポロジ、というのは位相幾何学という意味だ。
ちなみにどんな学問かは知らん。
そうなんですか? 僕も知りません。
うむ。図形がどうかなって、どうかするらしい事は知っている。
ともかく、ネットワーキングでのトポロジというのは、ノードとリンクという2つの図形を使ってネットワークの物理的配置を表現する。
のーど、りんく、ですか。
単純に、ノードはコンピュータやネットワーキングデバイス。リンクはメディアと考えればいい。
ノードは点、リンクは直線で表記される。
[Figure11-01:ノードとリンク]
明確ですね。
物理的な配置、つまりLANでのコンピュータやネットワーキングデバイスの配置と、その接続など適当でいい、と考えているかもしれん。
だが実際は、大きく5種類に分かれる。
机の配置とかが優先されるわけではない、と。
■ バス型トポロジ
まあ実際はそうなるが。一応のルールが存在する。
まずは、バス型。
[Figure11-02:バス型トポロジ]
前回に出てきた絵に似てますね。
うむ。共有メディア環境といえば、普通このバス型だ。
ちょっと古いタイプの物理トポロジで、同軸ケーブルを使うトポロジだ。T型コネクタというのを使って母線と支線を繋げていた。
[Figure11-03:T型コネクタ]
だが、例えば支線を1本増やしたい時は、一度母線を切ってそこにT型コネクタを入れなければならない。
面倒だろ?
確かに。
さらに、母線が切断されるとまったく駄目になってしまう。
なので最近では後述するスター型にとって変わられている。
へぇ。じゃ過去の遺物ってことで別に覚えておく必要はないかな。
そういうわけにはいかん。
確かに物理トポロジのバス型はあまり使われなくなったが、論理トポロジとしてのバス型は非常に重要だ。
論理トポロジ?
■ リング型トポロジ
あとでまとめて話をする。とりあえずトポロジの種類をすべて説明してからだ。
次はリング型。名前の通り、リングを使う。
[Figure11-04:リング型トポロジ]
それぞれのノードが、隣の2つと接続している。
かつ、最終的に円形になるのが、リング型だ。
ふむふむ。
さらにリング型の特徴は、信号が一方通行なのだ。例えば、右回りなら右回りで、逆方向に信号は流れない。
リング型の拡張として、2重リング型もある。
[Figure11-05:二重リング型トポロジ]
へへぇ。これだとリンクが倍になって、一度に多くのデータを送れそうですね。
いや、2重リングは通常は片方しか使わない。
もう一方は予備として使う。
なんかもったいない話ですね。
リング型は、どこか1箇所でも切断されると全体が繋がらなくなる。
そのため、冗長性を確保するための2重構造だ。
なるほど。たった1箇所の切断で全体が使えなくなったら洒落にならないですものね。
■ スター型トポロジ
うむ。
次は、最近の主なトポロジであるスター型。
[Figure11-06:スター型トポロジ]
中央に1つ置いて、それから繋がっている形ですか。
前回でてきたハブを使って繋げたみたいですね。
ほほぅ、ネット君も推論というものができるのだな。よきかなよきかな。
その通り、中央のノードは、ハブのようなネットワーキングデバイスが使われる。
できますよ、推論ぐらい。
ふむ。それは知らなかったな。覚えておこう。
ともかく、現在のLANのトポロジはほとんどこれだ。
そうなんですか?
ハブ、もしくはスイッチを中央に置いて、相互に接続する。
実際は接続する台数がハブのポート数を越えることが多いので、いくつものハブを繋いだ形の拡張スター型になる。
[Figure11-07:拡張スター型トポロジ]
中央のピンク色のスター型のノードから、さらにスター型で広がっているわけだ。
この中央のピンク色のノードはネットワーキングデバイスがなる。
ははぁ。前回出てきたハブを連続して繋げるってのは、こういう形で行うってことですね。
■ ツリー型トポロジ
うむ。
次が、ツリー型だ。
つりー? 木ですか?
そうだ。データベースの、データ構造などでよく使われる木構造の形をしたトポロジだ。
[Figure11-08:ツリー型トポロジ]
階層構造になっているのが特徴だな。
木構造なのだから当然と言えば当然だが。
なんか、スター型との区別がつきづらいですね。
それは確かに言えるな。
そうだな、スター型は中央のコア・スター型トポロジと、周辺という形なのに対し、ツリー型は、段階的に分かれているという形かな。
はぁ。
■ メッシュ型トポロジ
最後が、メッシュ型だ。
[Figure11-09:メッシュ型トポロジ]
うわ、なんか複雑な配線ですね。
うむ、確かに。何故かというと、すべてのノードは相互に直接接続されているからだ。
これならば、よほどの事がないかぎり、かならず何処かを経由して他と接続できる。
なるほど。
確かに、いままでのトポロジは、どこかが切断されると、他と繋がらなくなるノードがありましたね。
うむ。他と通信ができなくなることが致命的なエラーを起こすようなネットワークで使用される。
例えば、原発の管理システムなどがこのトポロジだと言われてるな。
どっか一箇所の切断で管理できなくなったら大変ですものね。
なんていうかチェルノブイリへまっしぐらって感じで。
どんな感じだ、それは。他にもインターネットを全体的にみれば、このトポロジだったりする。
ただし、リンクの数があまりにも多くなりすぎてしまう欠点を持つ。
そりゃそうですね。
よって、すべてのノードと完全に直接接続とはいえないが、部分的には相互接続という形もメッシュ型として使われる。
例えば、下図のような形だ。
[Figure11-10:パーシャルメッシュ型トポロジ]
中央の青ノードは、メッシュで接続されているが、青に接続されている他の4色は違う色のノードと相互に接続されていない。
このように、一部だけがメッシュ型なのを部分メッシュ型という。
なるほど。部分だけメッシュってことですか。
先ほどの図のような、すべてが相互に接続されているのは、完全メッシュ型という。
部分メッシュは、上図のような、ネットワークを相互に繋ぐ部分などの重要なところは完全メッシュ、その他周辺は他のトポロジ、のように組み合わせて使うのが特徴だな。
重要な場所は絶対に通信が途切れないように。他はどうでもいい、って形ですね。
うむ。そうなる。
物理トポロジは今まであげた5種類だ。
バス、リング、スター、ツリー、メッシュの5種類。
二重リング、拡張スター、部分メッシュ、完全メッシュ、と。
■ 論理トポロジ
物理トポロジはあくまでも、ノードとリンクの物理的な配置だ。
一方で、データの流れという観点から見た論理トポロジというものも存在する。
まだ型があるんですか?
いや、そういうわけではない。
大きくわけて、バス型とリング型の2種類の論理トポロジがある。
[Figure11-11:論理トポロジ]
データがノードを巡回する形が、リング型。
すべてのノードに伝送されるのが、バス型だな。
物理トポロジと変わらないように見えますが?
物理トポロジのリング型は、論理トポロジでもリングだが。
物理トポロジがバス型や、スター型の場合、物理トポロジと論理トポロジが一致しない事もありうる。
[Figure11-12:論理トポロジと物理トポロジ]
ははぁ、確かにデータがノードを巡回しますね。
配置はバスやスターだけど、動きは回ってますものね。
そうだろう。
さらに、物理トポロジのスター型は、論理的にはバス型で動く。
[Figure11-12:スター型の論理トポロジ]
配置と、動きが違うなんてややこしいですね。
違いはどこで判断するんです?
それはアクセス制御方式で判断するのだ。
これはレイヤ2の事柄なので、先で説明する。
はい。
リング、バス、スターの3つの物理トポロジと、2つの論理トポロジは覚えておくように。
では、次回からはレイヤ2を始めるぞ。
了解です。
3分間ネットワーキングでした〜♪
- トポロジ
-
[topology]
ネットワークの配置図、という意味でネットワークでは使われる。
- ノード
-
[node]
ネットワークに接続可能なすべての機器、を表す。デバイスとほぼ同義。
もちろんこのサイトのタイトル「Roads to Node」のNodeはこれからきている。
- リンク
-
[link]
送信側と受信側を繋ぐ通信回線を指す。
- バス型
-
[bus topology]
車のバスではなく、母線という意味。
- リング型
- [ring topology]
- 冗長性
-
余分なものがある状態。
この場合、単なる無駄ではなく、予備、保険として余剰を確保しておくことを指す。
- ツリー型
-
[tree topology]
図は二分木になっていますが、それ以外の木構造ももちろんあります。
- コア・スター型トポロジ
-
拡張スター型の図で、ピンク色のスター型の部分。
拡張スター型の中央。
- メッシュ型
-
[mesh topology]
メッシュは網、網の目の意味。
- 部分メッシュ型
-
[partial mesh topology]
パーシャル・メッシュとも言う。
- 完全メッシュ型
-
[full mesh topology]
フル・メッシュとも言う。
- ネット君の今日のポイント
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- 機器とメディアの配置を物理トポロジという。
- 5種類のトポロジがある。
- バス型
- リング型、二重リング型
- スター型、拡張スター型
- ツリー型
- 完全メッシュ型、部分メッシュ型
- データの動きでわける、論理トポロジもある。
- 論理トポロジと物理トポロジはかならずしも一致しない。