3 Minutes NetWorking
No.11

3MinutesNetWorking

第11回レイヤ1 ネットワーク・トポロジ

■ ネットワークの構成図

インター博士

今まで、メディアだの、信号だのそういう話ばかりだったな。

ネット助手

レイヤ1ってそういうのが決められている層なんですから、そうなるでしょうね。

インター博士

今回は、実際のコンピュータと機器、そしてメディアの配置という観点からネットワークを語ってみたい。

ネット助手

「語ってみたい」だなんて、らしくない出だしですね。

インター博士

余計なお世話だ。
ま、たまにはな。

ネット助手

いつもそういう落ち着いた感じがあれば、博士も結構イケてるのに。

インター博士

何か言ったかね?

ネット助手

いえ、博士はいつも博士ですね、と。

インター博士

何を当たり前のことを言っているのだ。
ま、ともかく。物理的な配置の話だ。

ネット助手

はい。

インター博士

実際の機器とメディアの配置のことを、物理トポロジという。

ネット助手

位相幾何学?

インター博士

難しい言葉を知っているな。確かにトポロジ、というのは位相幾何学という意味だ。
ちなみにどんな学問かは知らん。

ネット助手

そうなんですか? 僕も知りません。

インター博士

うむ。図形がどうかなって、どうかするらしい事は知っている。
ともかく、ネットワーキングでのトポロジというのは、ノードリンクという2つの図形を使ってネットワークの物理的配置を表現する。

ネット助手

のーど、りんく、ですか。

インター博士

単純に、ノードはコンピュータやネットワーキングデバイスリンクはメディアと考えればいい。
ノードは点、リンクは直線で表記される。

ノードとリンク

[Figure11-01:ノードとリンク]

ネット助手

明確ですね。

インター博士

物理的な配置、つまりLANでのコンピュータやネットワーキングデバイスの配置と、その接続など適当でいい、と考えているかもしれん。
だが実際は、大きく5種類に分かれる。

ネット助手

机の配置とかが優先されるわけではない、と。

■ バス型トポロジ

インター博士

まあ実際はそうなるが。一応のルールが存在する。
まずは、バス型

バス型トポロジ

[Figure11-02:バス型トポロジ]

ネット助手

前回に出てきた絵に似てますね。

インター博士

うむ。共有メディア環境といえば、普通このバス型だ。
ちょっと古いタイプの物理トポロジで、同軸ケーブルを使うトポロジだ。T型コネクタというのを使って母線と支線を繋げていた。

T型コネクタ

[Figure11-03:T型コネクタ]

インター博士

だが、例えば支線を1本増やしたい時は、一度母線を切ってそこにT型コネクタを入れなければならない。
面倒だろ?

ネット助手

確かに。

インター博士

さらに、母線が切断されるとまったく駄目になってしまう。
なので最近では後述するスター型にとって変わられている。

ネット助手

へぇ。じゃ過去の遺物ってことで別に覚えておく必要はないかな。

インター博士

そういうわけにはいかん。
確かに物理トポロジのバス型はあまり使われなくなったが、論理トポロジとしてのバス型は非常に重要だ。

ネット助手

論理トポロジ?

■ リング型トポロジ

インター博士

あとでまとめて話をする。とりあえずトポロジの種類をすべて説明してからだ。
次はリング型。名前の通り、リングを使う。

リング型トポロジ

[Figure11-04:リング型トポロジ]

インター博士

それぞれのノードが、隣の2つと接続している。
かつ、最終的に円形になるのが、リング型だ。

ネット助手

ふむふむ。

インター博士

さらにリング型の特徴は、信号が一方通行なのだ。例えば、右回りなら右回りで、逆方向に信号は流れない。
リング型の拡張として、2重リング型もある。

二重リング型トポロジ

[Figure11-05:二重リング型トポロジ]

ネット助手

へへぇ。これだとリンクが倍になって、一度に多くのデータを送れそうですね。

インター博士

いや、2重リングは通常は片方しか使わない
もう一方は予備として使う。

ネット助手

なんかもったいない話ですね。

インター博士

リング型は、どこか1箇所でも切断されると全体が繋がらなくなる
そのため、冗長性を確保するための2重構造だ。

ネット助手

なるほど。たった1箇所の切断で全体が使えなくなったら洒落にならないですものね。

■ スター型トポロジ

インター博士

うむ。
次は、最近の主なトポロジであるスター型

スター型トポロジ

[Figure11-06:スター型トポロジ]

ネット助手

中央に1つ置いて、それから繋がっている形ですか。
前回でてきたハブを使って繋げたみたいですね。

インター博士

ほほぅ、ネット君も推論というものができるのだな。よきかなよきかな。
その通り、中央のノードは、ハブのようなネットワーキングデバイスが使われる

ネット助手

できますよ、推論ぐらい。

インター博士

ふむ。それは知らなかったな。覚えておこう。
ともかく、現在のLANのトポロジはほとんどこれだ。

ネット助手

そうなんですか?

インター博士

ハブ、もしくはスイッチを中央に置いて、相互に接続する。
実際は接続する台数がハブのポート数を越えることが多いので、いくつものハブを繋いだ形の拡張スター型になる。

拡張スター型拡張

[Figure11-07:拡張スター型トポロジ]

インター博士

中央のピンク色のスター型のノードから、さらにスター型で広がっているわけだ。
この中央のピンク色のノードはネットワーキングデバイスがなる。

ネット助手

ははぁ。前回出てきたハブを連続して繋げるってのは、こういう形で行うってことですね。

■ ツリー型トポロジ

インター博士

うむ。
次が、ツリー型だ。

ネット助手

つりー? 木ですか?

インター博士

そうだ。データベースの、データ構造などでよく使われる木構造の形をしたトポロジだ。

ツリー型トポロジ

[Figure11-08:ツリー型トポロジ]

インター博士

階層構造になっているのが特徴だな。
木構造なのだから当然と言えば当然だが。

ネット助手

なんか、スター型との区別がつきづらいですね。

インター博士

それは確かに言えるな。
そうだな、スター型は中央のコア・スター型トポロジと、周辺という形なのに対し、ツリー型は、段階的に分かれているという形かな。

ネット助手

はぁ。

■ メッシュ型トポロジ

インター博士

最後が、メッシュ型だ。

メッシュ型トポロジ

[Figure11-09:メッシュ型トポロジ]

ネット助手

うわ、なんか複雑な配線ですね。

インター博士

うむ、確かに。何故かというと、すべてのノードは相互に直接接続されているからだ。
これならば、よほどの事がないかぎり、かならず何処かを経由して他と接続できる。

ネット助手

なるほど。
確かに、いままでのトポロジは、どこかが切断されると、他と繋がらなくなるノードがありましたね。

インター博士

うむ。他と通信ができなくなることが致命的なエラーを起こすようなネットワークで使用される。
例えば、原発の管理システムなどがこのトポロジだと言われてるな。

ネット助手

どっか一箇所の切断で管理できなくなったら大変ですものね。
なんていうかチェルノブイリへまっしぐらって感じで。

インター博士

どんな感じだ、それは。他にもインターネットを全体的にみれば、このトポロジだったりする。
ただし、リンクの数があまりにも多くなりすぎてしまう欠点を持つ。

ネット助手

そりゃそうですね。

インター博士

よって、すべてのノードと完全に直接接続とはいえないが、部分的には相互接続という形もメッシュ型として使われる。
例えば、下図のような形だ。

パーシャルメッシュ型トポロジ

[Figure11-10:パーシャルメッシュ型トポロジ]

インター博士

中央の青ノードは、メッシュで接続されているが、青に接続されている他の4色は違う色のノードと相互に接続されていない。
このように、一部だけがメッシュ型なのを部分メッシュ型という。

ネット助手

なるほど。部分だけメッシュってことですか。

インター博士

先ほどの図のような、すべてが相互に接続されているのは、完全メッシュ型という。
部分メッシュは、上図のような、ネットワークを相互に繋ぐ部分などの重要なところは完全メッシュ、その他周辺は他のトポロジ、のように組み合わせて使うのが特徴だな。

ネット助手

重要な場所は絶対に通信が途切れないように。他はどうでもいい、って形ですね。

インター博士

うむ。そうなる。
物理トポロジは今まであげた5種類だ。

ネット助手

バス、リング、スター、ツリー、メッシュの5種類。
二重リング、拡張スター、部分メッシュ、完全メッシュ、と。

■ 論理トポロジ

インター博士

物理トポロジはあくまでも、ノードとリンクの物理的な配置だ。
一方で、データの流れという観点から見た論理トポロジというものも存在する。

ネット助手

まだ型があるんですか?

インター博士

いや、そういうわけではない。
大きくわけて、バス型とリング型の2種類の論理トポロジがある。

[Figure11-11:論理トポロジ]

インター博士

データがノードを巡回する形が、リング型。
すべてのノードに伝送されるのが、バス型だな。

ネット助手

物理トポロジと変わらないように見えますが?

インター博士

物理トポロジのリング型は、論理トポロジでもリングだが。
物理トポロジがバス型や、スター型の場合、物理トポロジと論理トポロジが一致しない事もありうる。

[Figure11-12:論理トポロジと物理トポロジ]

ネット助手

ははぁ、確かにデータがノードを巡回しますね。
配置はバスやスターだけど、動きは回ってますものね。

インター博士

そうだろう。
さらに、物理トポロジのスター型は、論理的にはバス型で動く。

[Figure11-12:スター型の論理トポロジ]

ネット助手

配置と、動きが違うなんてややこしいですね。
違いはどこで判断するんです?

インター博士

それはアクセス制御方式で判断するのだ。
これはレイヤ2の事柄なので、先で説明する。

ネット助手

はい。

インター博士

リング、バス、スターの3つの物理トポロジと、2つの論理トポロジは覚えておくように。
では、次回からはレイヤ2を始めるぞ。

ネット助手

了解です。
3分間ネットワーキングでした〜♪

トポロジ
[topology]
ネットワークの配置図、という意味でネットワークでは使われる。
ノード
[node]
ネットワークに接続可能なすべての機器、を表す。デバイスとほぼ同義。
もちろんこのサイトのタイトル「Roads to Node」のNodeはこれからきている。
リンク
[link]
送信側と受信側を繋ぐ通信回線を指す。
バス型
[bus topology]
車のバスではなく、母線という意味。
リング型
[ring topology]
冗長性
余分なものがある状態。
この場合、単なる無駄ではなく、予備、保険として余剰を確保しておくことを指す。
ツリー型
[tree topology]
図は二分木になっていますが、それ以外の木構造ももちろんあります。
コア・スター型トポロジ
拡張スター型の図で、ピンク色のスター型の部分。
拡張スター型の中央。
メッシュ型
[mesh topology]
メッシュは網、網の目の意味。
部分メッシュ型
[partial mesh topology]
パーシャル・メッシュとも言う。
完全メッシュ型
[full mesh topology]
フル・メッシュとも言う。
ネット助手ネット君の今日のポイント
  • 機器とメディアの配置を物理トポロジという。
  • 5種類のトポロジがある。
    • バス型
    • リング型、二重リング型
    • スター型、拡張スター型
    • ツリー型
    • 完全メッシュ型、部分メッシュ型
  • データの動きでわける、論理トポロジもある。
  • 論理トポロジと物理トポロジはかならずしも一致しない。

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管理人:aji-ssz(at)selene.is.dream.jp