■ OSI参照モデルでのデータの流れ
さてさて、3回続けてOSI参照モデルの話だ。
続きますね。
うむ、それだけ重要なのだよ。
今回は、データの流れを追ってみよう。そうだな、宅配便を例にとって話してみようか。
今回は手紙じゃないんですね。
宅配便の方がわかりやすいのでな。
ネット君、宅配便とはどんなものだね?
どんなものって。
あれでしょ、送りたいものをダンボールに詰めて、コンビニかどっかで送ると相手につくっていう。クロネコ○マトとか、佐○急便がやってる。
そうだ。送信元から宛先へ運ぶ。
通信では、運びたいものをデータ、それを入れたダンボール全体をデータユニットと呼ぶ。
データと、データユニットですか。
宅配便を送るときの手順を言ってみたまえ、ネット君。
前のように細かくだ。
え〜っと、まず送りたいものを用意する。
それをダンボールに入れる。
送りたいものが、グラスのような割れやすいものだったらどうする?
新聞紙でくるみます。あとはプチプチを入れたり。
プチプチ…。まぁわかりやすくていいが。
プチプチもしくは新聞紙でくるんで、ダンボールに入れて、次は?
規定の配達表に、宛先と送り主を書いて。
コンビニに渡して。そうすると、宅配便の運ちゃんが集荷に来て、配送所に運んで。
集荷に来た時点で、運ちゃんが配送表というものをつける。誰が受け取って、何処行きで、とそんな感じの事を。
まぁ、ともかくそこまででいい。上出来だ。
えへへ。
要約すると、以下の図のようになるな。
右下の再生ボタンを押してみてくれ。
[Figure06-01:宅急便の梱包]
受け取った側は逆の順番を行うわけだ。
「配送表をはがす」「宛先をはがす」「ダンボールから出す」「緩衝材をとる」で、中身が手に入る、と。
なるほど、確かにそうなりますね。
さて、ここでまた質問だ。
何故こんな面倒くさいことをするんだ? そのまま送ってしまえばいいだろう?
え、だって。緩衝材やダンボールで保護しないと壊れちゃうかもしれないし。
宛先を貼らないと、どこへ届けていいかわからないし。
そうだ!! いいぞ、ネット君。
つまり運ぶためには、いろいろ運びたいもの(データ)以外のものも必要なのだ。
は〜。なるほど。
じゃあ、実際にはデータ以外のものって、どんなものですか?
宛先、送信元のアドレス。
あとは通信制御用のデータだな。
アドレスって?
まぁ、つまりネットワーク上でのホストの住所だな。TCP/IP、つまりインターネットではIPアドレスが使われる。
これらのデータ以外のものもまとめて一緒に送るのだ。
ふ〜ん。
それらデータと、それ以外で必要なものをまとめたすべてをデータユニットというわけですね。
うむ。今日は冴えてるな、ネット君。
まるで助手みたいだな。
…、助手です。
そうだったのか。
てっきりNHKの教育番組にでてくるマヌケな人形だと思ってたぞ。
なんですかそのわかるようでわからない微妙な表現は?
ということは、博士がお姉さん役ですか。
ひやひやどきっちょな、も〜ぐたん!
…。
すまん…。
…。
ホントすまん…。
…わかってくれればいいんですよ。
話の続きをしてください。
■ カプセル化
そうだな。
送りたいもの(データ)に色々送るためのものをつけて、実際に送るというのはわかってもらったと思う。
はい。
OSI参照モデルでは、上の層から順番に制御データをつけていく。
そして、最下層のレイヤ1までいくと電気信号化されて、相手に送られる 。図式化した方がわかりやすい。これを見てくれ。
[Figure06-02:制御データの付加]
ははぁ。
このセグメント、パケット、フレームってのはデータの別名なのですか?
別名というか。例えば、レイヤ4の制御情報がくっついたデータをセグメントというのだ。
さらにそれにレイヤ3の制御情報がつくとパケットという。
さっきはデータユニットというのが出てきましたけど。
それはまた違うものなんですか?
いや。同じだ。
そうだな、データユニットは通信に使うデータ、セグメント、パケット、フレームの総称だと思ってもらうのが一番近いかな。パケットと言った場合はレイヤ3での名前だ。
ふむふむ。
それでだ。このようにデータに制御データをくっつけてデータグラムに仕上げることをカプセル化という。
カプセルですか。
そうだ。データをこう封詰めしてく感じが、物をカプセルに入れる形と似ているからだろう。
そして受け取った側はカプセルをはがしていくわけだ。
[Figure06-03:カプセル化]
一連の流れを図式化すると、上図のようになる。
なるほど。
確かにさっきの宅配便みたいですね。
うむ。この流れを忘れないように。
これから先色々なことをやっていくが、これの流れが根本にあるのだ。
了解ッス。
OSIの話はここでお終いだ。
くれぐれも忘れないように。
くどいですよ、博士。
大丈夫ですって。
そういうのなら間違いなかろう。
ネット君の記憶力は鳥さえも舌を巻くスピードと定評があるからな。
てへへ。
褒めてねぇ。
はぅっ。
次回は、LANの話をするぞ。
了解。
3分間ネットワーキングでした〜♪
- データユニット
-
[data unit]
データと付加情報の集まり。
- プチプチ
- 正式にはなんていうんでしょう?エアキャップ?
- ホスト
-
[host]
自分で通信機能を持つデバイス、コンピュータやルータなどを指す。
- IPアドレス
-
[IP address]
詳しくは後述。
- ひやひやどきっちょな…
-
「マンガ初めて物語」でしたっけ?
NHK教育ではありません。
- カプセル化
-
[encapsulation]
オブジェクト指向型プログラミング言語でも同じ言葉がでてきますが、それとは似てるようで違います。
- ネット君の今日のポイント
-
- 通信の時、送るのは送りたいデータだけでなく、制御用データも必要。
- データ、セグメント、パケット、フレーム、の順でカプセル化されて送信される。
- 受け取った側は、逆の順で制御用データをはずしていく。