「造反有理! 革命無罪!」 「打林打孔!」 さわやかな朝の挨拶が、澄みきった青空にこだまする。 毛主席のお庭に集う女兵士たちが、今日も革命家のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。 汚れを知らない心身を包むのは、深い緑色の中山服。 足の歩調を乱さないように、毛主席語録を落とさないように、 解放軍式に歩くのがここでのたしなみ。 もちろん、毛主席語録を忘れたなどといった、 反革命的な生徒など存在していようはずもない。 北京市リリアン紅衛兵学校。 1949年創立のこの学校は、もとは共産党の幹部育成のためにつくられたという、 伝統ある共産党の紅色学校である。 北京市下。清朝の面影を未だに残している緑の多いこの地区で、 偉大なる領袖毛主席に見守られ、幼稚園から大学までの一環教育が受けられる人民の園。 時代は移り変わり、経済開放を行い数十年経った今日でさえ、十八年通いつづければ 温室育ちの純粋培養革命戦士が箱入りで出荷される、という仕組みが未だ残っている貴重な学校である。