■ ケーブルの種類?
おっはよ〜ございます、博士っ!!
おっ、ネット君ちょうどいい所へ。
やや、ナイスタイミングですか、僕?
うむ、すまぬがちょっとひとっ走りしてLANケーブルを買って来てくれぬか。
新しいマシンをハブに接続しようとしたんだが、ケーブルがなくてな。
了解ッス。
いざ行かんっ、電脳の魔都へっ!!
…行ったか。
しかし、あのたまにみせるわけのわからないテンションの高さはどうにかならんものか。
…。
ただいまッス。
はい、LANケーブル。
うむうむ、ごくろうだった。
ではさっそく…………っ!!
こっちが領収書になりますですよ。
ネット君?
はい?
この莫迦ものっ!!
はうっ!!
殴ったなっ!! 父さんにも殴られたことないのにっ!!
…!!
2度もぶったっ!!
あぁ、ぶったさ。ぶって何が悪い!?
僕がガンダムを一番上手く使えるのに……。
別にガンダムを上手く扱えなくてもいいが、ハブに接続すると言ったのに、クロスケーブルを買ってくる奴があるかっ!!
くろすけーぶる?
ハブと接続するんだから、ストレートケーブルでなければダメだろう?
すとれーとけーぶる?
…………。
もしかして、説明してなかったか?
たぶん。
■ NICの仕組み
ゴホンゴホン。
クロスケーブルとストレートケーブルの違いを説明するには、NICの話をしなければな。
もしかして、僕、殴られ損ですか?
そんなことはない。殴られたおかげで新たな知識を手に入れることができるのだ。
損ばっかりではない。
確かにそうともいいますが。
…なんか納得いかない。
ともかく、NICだ。
人間でもそうだが、情報を受け取る器官と、情報を出す器官は別物だ、ということはわかるな?
情報を受け取る器官と、情報を出す器官?
人間だと、受け取るのが目とか鼻とか耳とかですよね。出すのが口?
まぁ、受け取るのはいわゆる五感だな。出すのは口というよりも声帯だ。
これらの器官は、「出す」と「受ける」が両立しえない。これもいいな?
そうなんですか?
そうだとすると、目からレーザーがでませんが?
目からレーザーを出したければ、X-MENにでもならなければならないな。
うぅ、僕の夢の1つが…。
イヤな夢だな、おい。
ともかく、これはNICにも当てはまることで、データを送信する送信機、とデータを受け取る受信機。NICという機械には2つが内蔵されている。
へへぇ。
でも博士? LANケーブルを差し込む口は1つしかないですが?
まぁ、それについては先で話すとして、つまり、NICとはこういう形でできているわけだ。
[FigureSP01-01:NICの構造]
あぁ、そうそう言い忘れた。UTPを使うイーサネットNICの話だからな。
ははぁ。
もしかして、UTPのイーサネット以外のNICは仕組みが違うんですか?
うむ。UTP以外となると、多くは同軸ケーブルだが、やはりケーブルの仕組みが違うとそれに合わせてNICも違う。まぁ、当然と言えば当然だ。
なるほど。
ともかく、1つのNICの中に送信機と受信機がある、と理解してくれ。
情報を出すのが、送信機。情報を受け取るのが受信機、ですよね。
名前の通り。
■ ワイヤ結線
さてはて。
ここでUTPの話にうつるわけだが。UTPの特徴は? ネット君。
えぇ〜っと。
3分間ネットワーキング第9回では、安価で、やわらかくて、キャンセレーションして、8本を2本ずつ4つの組にしていて…。
うむ。そこだ。
UTPとは8本の銅線から成り立っている。
でしたよね。
うむ。UTPは、8本それぞれに色をつけて、4つのペアを作っている。
[FigureSP01-02:UTP]
4色と、ちょっとわかりづらいがその色+白の計8パターンになる。
ペア1が真ん中で、ペア2が上…。
なんでこんな順番なんです?
さぁ?
うわ。なんかいい加減だ。
別にそれは重要なことではないしな。覚えなければいけないのは、上から何番目と何番目がペアかということだ。
1番目と2番目、3番目と6番目、4番目と5番目、7番目と8番目ですね。
うむ。それでな、NICにUTPを接続すると、1番目と2番目のペアが送信機。3番目と6番目のペアが受信機に接続される。
[FigureSP01-03:送信と受信]
ほかの2ペアは使われないんですね。
100BASE-TXではそうだ。
この1番目と2番目のペアが送信機、3番目と6番目のペアが受信機に接続される並びでの接続ポートのことをMDIポートという。NICのUTPポートはこのMDIポートだ。
えむでぃーあいポートですか。
■ クロス
さて、これを他のNICと接続した場合。つまりMDIポート同士を接続した場合。
[FigureSP01-04:MDI間での接続?]
こうなる。なにかおかしいところはないか?
おかしいところ?
う〜ん……。TxとTX、RxとRxが接続されているところかな。
よし、その通り。これでは送受信できない。
送信機と受信機の対にならなければいけない。
そりゃまぁ、そうですよね。
耳と耳、つまり受信機と受信機をくっつけても何もおきませんからね。
そうだ。
なので、MDIポートを持つ同士、つまりNIC間での接続は下の図の形になる。
[FigureSP01-05:MDI間での接続]
1番目と3番目、2番目と6番目を接続する。
これがクロスケーブルと呼ばれるケーブルだ。
うぅ?
どういうことです?
つまり、ケーブルのジャックが違うのだ。
ケーブル内で交差して、橙/白が3番目に、橙が6番目に…、と入れ替わってるわけだ。
[FigureSP01-06:クロスケーブル]
ははぁ。送信機と受信機、受信機と送信機を接続するようケーブル内で交差(クロス)するから、クロスケーブルなんですね。
じゃあ、博士。買ってきたクロスケーブルで問題ないじゃないですか。
NICとNIC、つまりパソコン同士の1対1接続ならばクロスケーブルで確かに問題ない。だが、今回はハブとの接続のケーブルだ。
ハブと接続する場合はクロスケーブルじゃダメなんですか?
■ ストレート
うむ。ハブはな、送信機と受信機が逆についているだよ。
逆に?
そうだ。MDIに対してMDI-Xポートと呼ばれる。
[FigureSP01-07:MDI-X]
なので、NICのMDIと、ハブのMDI-Xを接続するときは、交差していないストレートケーブルを使う。
[FigureSP01-08:MDI・MDI-X間の接続]
ははぁ、交差しなくてもいいわけですね。
でも、なんでハブは受信機と送信機が入れ替わってるんですか?
うむ。それはな。コンピュータ同士を1対1で繋げることはあまりないからなのだよ。
普通は、ハブやそれに類する装置を使って、複数のコンピュータを接続する。
まぁ、確かにパソコン同士1対1で接続することってあまりないですよね。
なので、MDIとの接続を前提として作られたハブは、MDIと逆のMDI-Xにして接続しやすくしているわけだ。
でも、最初からクロスケーブルを用意しておけばいいじゃないですか?
まぁ、確かにそうなんだが。普通はストレートケーブルが一般的なのだよ。RS232Cなども、通常はストレートだ。
通信機器のほとんどは、ストレートケーブルでの接続を前提として作られているわけだ。
ははぁ。
だから、逆のMDI-Xなんですね。
■ ハブのカスケード
通常はストレートケーブルを使用するのだが。
パソコン同士の接続にはクロスケーブルを使う。
はい。
だが、もうひとつクロスケーブルを使う場合がある。
ハブのカスケード接続の場合だ。
かすけーど?
うむ、ハブとハブの接続のことだ。
ハブとハブを接続して、キャッチメントエリアを広げたり、接続台数を増やしたりするのに使う。
[FigureSP01-09:カスケード接続]
ハブとハブを繋げる。つまりMDI-XとMDI-Xを繋げるわけだな。
それはつまり?
送信機と受信機が入れ替わってるのがMDI-Xですよね。
MDIとMDI-Xが接続するにはストレートケーブルでいいけど、MDI-X同士だと、やっぱりクロスケーブルでの接続?
そうだ。
つまり、MDIとMDI、MDI-XとMDI-Xの接続にはクロスケーブルが必要だ。
[FigureSP01-10:MDI-X間の接続]
ははぁ。なんかややこしいですね。
そうだな。PCとハブ間はストレート。ハブとハブ間はクロス。これはちょっと面倒くさい。
なので普通のハブはカスケード接続専用のポートを持っていることが多い。
専用のポート?
うむ。つまりカスケード用のポートだけMDIなのだよ。
専用のポートを持っている場合もあるし、スイッチでMDIとMDI-Xを切り替えるタイプのもある。最近では自動認識するタイプのもある。
ん〜っと。カスケードの時だけMDIにするってことは。
他のハブと繋げる時は相手はMDI-Xだから、ストレートでいいわけですね。
[FigureSP01-11:uplinkポートを使ったカスケード接続]
そうだ。上の図のようにすべてストレートケーブルだけでよいわけだ。
ははぁ、なるほど。
というわけで、今回はこれでおしまいだ。
次にケーブルを買ってくるときは間違えないように。
了解です。
3分間ネットワーキングでした〜♪
- クロスケーブルを…
-
アタマ付け替えればいいだけなのに、そんなに怒ることないと思います。
まぁ、話の展開上。
- X-MENにでも…
-
X-MENリーダーのサイクロップス[CYCLOPS]のこと。
オプティック・ブラストッ!!
- 送信機と受信機
-
[Transfer and Reciver]
英語の頭文字をとって、TxとRxと略されます。
- 100BASE-TXでは…
- 1000BASE-Tでは4対とも使用します。
- MDI
-
[Medium Dependent Interface]
メディア依存インタフェース。
- ケーブルのジャック
-
UTPではRJ-45というジャックを使用します。
なお、下の図の左側(1番が橙/白)の方のケーブルとジャックの接続方式(結線)がEIA/TIA568B、右側(1番が緑/白)がEIA/TIA568A、という規格です。
- MDI-X
-
[Medium Dependent Interface Crossover]
メディア依存インタフェース・クロス結線。
- RS232C
-
[Recommended Standard 232C]
EIAが規格した一般的にモデムとの接続に使われるシリアルケーブル。
正確にはANSI/EIA/TIA-232-Eという名前のインタフェース。
パソコンのシリアルポート(COM)はコレ。
- カスケード接続
-
[cascade]
カスケードは「縦つなぎ」「直列つなぎ」の意味。
- カスケード接続専用のポート
- アップリンク[uplink]ポートと呼ばれる。
- 専用のポートを持っている
-
この場合、一番最後のポートと排他になっていることが多い。
例えば8ポートハブの場合、カスケードしないならば8台のPCと接続可能だが、カスケードする場合は、8番ポートは使えなくなる。
- ネット君の今日のポイント
-
- データ通信には送信機と受信機を使う
- 送信機には受信機を、受信機には送信機を接続する。
- 接続ポートにはMDIとMDI-Xがある。
- 同じ種類のポートを接続する場合はクロスケーブル。
- 違う種類のポートを接続する場合はストレートケーブル。
- 通常はストレートケーブルでの接続が前提