これを読み始める前に、3分間ネットワーキング第53回、第54回、第55回を読んでおくことをお勧めします。
■ Randomly-Lose
ネット君。実はな。
なんですか、博士。深刻な顔をして。
第55回でとても重要なtelnetオプションをひとつ説明するのを忘れてた。
とても重要って…。
そんなミスをするなんて、博士らしくないですね。どんなオプションなんです?
RFC748にあるRandomly-Loseというオプションだ。▼ link
らんだむりーろす?
「偶発的消失」?
うむ、その偶発的消失オプションだ。
偶発的な、ランダムな消失のオプション?
とても重要というからには大事なオプションなんですよね。
うむ。まず、偶発的消失について説明しておこう。
サーバやホストが、システムクラッシュやデータ消去、不正なプログラムの使用などを起こすことをいう。
?
つまり、サーバやホスト、もしくは彼らがもつデータがそれらの原因によりネット上から消えてしまうことだな。
あぁ、だから「偶発的」な「消失」なわけですね。
そうだ。これらの「消失」は非常に混乱を巻き起こす。
特にネット君のような初心者にとってそれはパニックを誘発するだろう。
「ネット君のような」というところはどうかと思いますが。
初心者がパニくるというのはよくわかります。
そういう嬉しくないサービスを提供してくれるサーバたちは非常に問題だ。
大体そういうサーバに限って、「よくダウンします」と文書化しないんだよな。
まぁ、普通そういうことを文書化してくれる律儀なサーバ管理者はいないと思いますが。
いやいや、消失するというサービスを提供しているんだから、サービスは文書化しないとマズイだろう。
そういうもんですか?
そういうものだ。
なので、ユーザがサービスを無効化する手段が必要ではないか、と思わないかね?
それは思います。
その無効化するために、telnetオプションとして偶発的消失オプションが存在する。
これは偶発的消失を行なうためのオプションだ。
偶発的消失を行なうためのオプション?
■ オプション交渉
うむ。デフォルトでは偶発的消失オプションは無効化されている。
つまり…。
つまり?
偶発的消失は許されない。
よって、故意であろうが偶然であろうがシステムクラッシュ、データの消去などは起こしてはならない。
オプションが無効化されているのならば、そういう「消去」は起こしてはいけませんよね。
うむ。
もしサーバが偶発的消失を望むならば、ユーザ(クライアント)にオプション使用の許可を求めなければならない。
ということは、telnetのオプション交渉を行うわけですね。
その通り。
偶発的消失オプションのコードは以下の通りだ。
コード | 名前 | 意味 |
---|---|---|
0x100 | [Randomly-Lose] 偶発的消失 | 偶発的なデータ・ホストの消失を認める。 |
[TableEX02-01:オプションコード]
このコードを使って、オプション交渉する。
[FigureEX02-01:Randomly-Loseオプション交渉]
ははぁ。サーバがオプション使用を求めた場合、クライアントが拒否したら偶発的消失はできないんですね。
そうだ。
絶対に偶発的消失をしてはならない。
そりゃそうですよね、使用が拒否されたんですからね。
当然ですよね。
うむ。
確実にデータやホストは存在しなければならない。
なるほどです。
一方、使用が認められた、もしくはクライアントから使用要求が来てそれを許諾した場合は、すぐさま偶発的消失を実行する。
推奨されているのはディスクの初期化?
そうだな、それを実行できるようにしておくことが推奨されている。
■ オプションの使用
このオプションは実装しないか無効化しておくことを希望されている。
実装しない?
実装しないということは、偶発的消失をクライアントに認めてもらうことができないわけだな。
あぁ、なるほど。
つまり確実なわけですね。
うむ。
さらに実装した場合は、無効化しておくことを希望されている。
それって結局…。
うむ。サーバとそのデータは100%確実であることを希望されている、ということだな。
ははぁ。
サーバは偶発的消失サービスを使ってはいけない、と。
そういうことだ。
重要なオプションだろう?
ええ、こんな重要なオプションを第55回で説明し忘れるなんて、ほんとに博士らしくないですよ。
うむ。まったく弁解の仕様がない。
フォローできたところで、今回はここまで。
了解。
3分間ネットワーキング・特別編でした〜♪
- RFC748
- 1978年、4月1日発表。
- 確実
-
[reliable]
コンピュータの性能評価では信頼性[Reliability]という訳がされている。
- ネット君の今日のポイント
-
- ぜひ実装してほしいです。