3 Minutes NetWorking
No.15

3MinutesNetWorking

第15回レイヤ2 イーサネットの拡張

■ イーサネット・おさらい

インター博士

前回、イーサネットの話をしたな。

ネット助手

ええ。繋がっているすべてのノードへフレームを送りつけるブロードキャスト型で、CSMA/CDでアクセス制御をしてると。

インター博士

うむ。
まず前回話損ねたことから話そう。

ネット助手

はい。

インター博士

イーサネットでは、衝突が発生する。
衝突のシステムはどうだった?

ネット助手

え〜っと、基本的に誰かが送信している間は、他の人は送信できないんですよね。
でも、誰も使ってないな〜と思って送信を始めた時に…。

インター博士

まだそのフレームが届いてない人が、誰も使ってないと思って送信を始めてしまう。
この場合1本の銅線しかない同軸ケーブル上に2つの信号が交差するため衝突が発生する。

ネット助手

…言いかけてたのに。

インター博士

うむ。衝突が起きたわけだ
それで、衝突が起きると…。

ネット助手

信号がおかしくなって、エラーになるんですよねっ。
それは邪魔でしかないっ。

インター博士

…の野郎。

ネット助手

へへへ、お返しですよ。

インター博士

よかろうネット君。そちらがそう出るならばこちらにも考えがある。
ちなみに言っておくが、私の辞書には「職権乱用」は合法と書いてある

ネット助手

ヤな辞書ですね

インター博士

前途有望な若者が、たかが1単位落としただけで留年し、未来への道を閉ざしてしまうなんて。
まったくもって遺憾でしかない。うむ。教師とは素晴らしい職業だな

ネット助手

博士、洒落になりませんよ、その発言は

■ 半二重・全二重

インター博士

マジな話はさておいて。

ネット助手

マジだったのか。

インター博士

イーサネットでは正常な通信時には、自分は送信しか行っていない
受信できることはできるが、受信した場合はそれは衝突が発生した証だからな。

ネット助手

そういうことになりますよね。

インター博士

さらに、他の人が送信中である場合は、もちろん自分は受信のみ、送信は行えない

ネット助手

キャリア検知(CS)ですよね。

インター博士

つまり、送信のみか、受信のみのどちらか一方しか各ノードは行えない。
イーサネットは半二重通信方式であるということだ。

ネット助手

はんにじゅう? 半分だけ二重?

インター博士

つまり、トランシーバーでの通信だな。
自分が話しているときは、相手の声が聞こえない。相手が話しているときは、相手に自分の声は伝わらない。

ネット助手

イーサネットなら、誰かが送信中は、自分は送信できない受信のみ。自分が送信中は、他は送信できないので、もちろん自分は受信をしない。
確かにトランシーバーで話しているみたいですね。

インター博士

ちょっと効率が悪いよな。
同軸ケーブルを使用するイーサネットでは仕方がないのだが。

ネット助手

同軸ケーブルを使用する、って他のなら大丈夫なのですか?

インター博士

うむ。光ファイバや、ツイストペアケーブルなら可能だ。
ツイストペアを例にとろう。ツイストペアは8本4組だったな。

UTPによる接続

[Figure15-01:UTPによる接続]

インター博士

上の図のように、実はツイストペアケーブルの8本4組のうち、2本1組はこちらの送信側と相手の受信側。
別の2本1組はこちらの受信側と相手の送信側に接続される。

ネット助手

残りの4本2組は?

インター博士

使われていない。まあ、将来的な発達余裕と思っていてくれ。
この状態だと、相手の送信と自分の送信は同じ道を通らない。つまり、ツイストペアならば衝突は発生しない

ネット助手

うわ、前提条件が…。

インター博士

そうなると、相手が送信していても、送信が可能になる。衝突しないからな。
このような、同時に送信・受信が可能な方式を全二重通信という。

ネット助手

なら、何故イーサネットは半二重なんて話をしたんですか?

インター博士

上の例は、あくまでも1対1で接続した場合だ。
リピータ・ハブを使った場合、以下のようになる。

ハブを使った接続

[Figure15-01:ハブを使った接続]

インター博士

リピータのポートまでは送信・受信別々の組で接続されているのだが、リピータの内部は送信・受信でわかれていない
そうなると…。

ネット助手

そうなると?

インター博士

結局は、リピータの内部で衝突が発生する
元の木阿弥だ。もちろんこれはハブでも同様だ。

ネット助手

あぅ。
つまりリピータのポートとポートが同軸ケーブルで繋がれているようなものだから、結局は同軸ケーブルで繋いでいるのと同じだと。

インター博士

別にリピータはポートとポートを同軸ケーブルで繋いでいるわけではないが、考え的にはそれで正解だ。

ネット助手

ははぁ。

インター博士

だが、せっかくツイストペアならば全二重通信が可能なのに、これはもったいないだろう?

ネット助手

それはそうですね。

インター博士

スイッチならば内部で衝突がおきない仕組みをもっているので、全二重通信が可能になる。

ネット助手

へぇ。どうやってです?

インター博士

それはスイッチの説明の時に話す。
もうちょっと待て。

ネット助手

はい、了解です。

■ Fast Ethernet/Gigabit Ethernet

インター博士

さて、いきなりツイストペアの話がでたが。
前回、イーサネットは同軸ケーブル(10Mbps)を使用すると言ったな。

ネット助手

えぇ。
イーサネットが開発された段階で、同軸ケーブルが主流だったからそれが規格になった、と。

インター博士

だが、それは1980年前半の話だったわけだ。
情報通信の世界で、20年前といえば、そうだな生物が初めて陸に進出した時代に匹敵する

ネット助手

ごっつい例えですね。

インター博士

この世界。10年どころか1年ひと昔だ。

ネット助手

まるで去年の紅白歌合戦で歌われた曲を誰も覚えていないみたいな感じですね。

インター博士

なんとも微妙な比喩だな、それは。
ともかく技術の進歩が圧倒的なので、それに応じてIEEEも規格を拡張している。

ネット助手

へぇ。ちゃんと対応してるんだ。

インター博士

うむ。日本のお役所仕事とは一味違うな。
まず、IEEE802.3に、ツイストペアや光ファイバを使用可能にした。これが、1990年代初頭。

ネット助手

ふむふむ。

インター博士

そうこうしているうちに、スピードの問題が発生した。
100Mbpsのケーブルの登場だ。

ネット助手

今でも使われてる、100BASE-TX、カテゴリー5ですよね。

インター博士

光ファイバの100BASE-FXも忘れるな。
そこで、IEEEはIEEE802.3の拡張仕様を作成した。ファストイーサネット。規格名で言えば、IEEE802.3uだ。

ネット助手

なんか速そうな名前ですね。

インター博士

事実10倍の100Mbpsだから速いな。
これの素晴らしいところは、下位互換であるところだ。

ネット助手

かいごかん?

インター博士

つまり、今までのイーサネットの機器と併用して使えるということだ。
イーサネットと同じフレーム形式、CSMA/CDを使用する。

ネット助手

つまり、スピードは上がったけど、イーサネットには変わりない、ということですか?

インター博士

例えば、ファストイーサネット仕様のNIC。でもケーブルは10BASE-T。
ケーブルは100BASE-TXだけど、ハブはイーサネット仕様。こういう形の混在でも大丈夫だ、ということだ。もちろん100Mbpsとして使えないがな。

ネット助手

ははぁ。そりゃ便利ですねぇ。

インター博士

ファストイーサネットと、イーサネットの違いといえば。
同軸ケーブルが規格から外れたこと、それに応じてバス型物理トポロジが使えなくなり、スター型のみになったこと、ぐらいだな。

ネット助手

それだけですか?

インター博士

他にもこまごまとあるが、大きな違いといえばそれぐらいだな。
ちなみにファストイーサネットが、規定されたのは1995年のことだ。

ネット助手

ふむふむ。

インター博士

とかなんとか技術の進歩に合わせているわけだが、ついにギガビットの時代の到来した。
ギガビットイーサネットだ。

ネット助手

ぎがびっと!
1000Mbpsですから、イーサネットの100倍かぁ。

インター博士

これは2つの規格がある。
光ファイバを使うIEEE802.3z。ツイストペアを使うIEEE802.3ab、の2つだ。

ネット助手

802.3u、802.3zで次が802.3ab。
10ギガビットイーサネットは802.3cdぐらいかなぁ?

インター博士

おしい。
10ギガビットイーサネット。IEEE802.3aeだ。

ネット助手

うわ、安直

インター博士

ともかく、これもイーサネット、ファストイーサネットとの下位互換だ。
フレーム形式、CSMA/CDを相変わらず使用する。

ネット助手

なるほど。

インター博士

うむ。イーサネットの話はこれで終わりだ。
次回は残った2つのアクセス制御方式、IEEE802.5とFDDIの話をする。

ネット助手

いぇっさ〜。
3分間ネットワーキングでした〜♪

洒落に…
インター博士は、実在の講師をモデルにはしているわけではありません。
えぇ、していませんとも。
半二重通信方式
[half-duplex]
送信のみ、受信のみどちらか一方を選択して切り替える通信方式。両方同時にはできない。
送信専用、受信専用同士で通信を行う方式を、単向通信[simplex]と言う。
全二重通信
[full-duplex]
送信と受信が同時に行える方式。例えば電話。
1対1
このような通信方式をポイントツーポイント[point to point]と言う。
リピータ内部で…
なのでツイストペアを使用するリピータ・ハブの場合、jam信号をリピータ・ハブが送信し、衝突が発生したことを伝えます。
全二重通信が可能
スイッチも必要ですが、NICが全二重通信に対応している必要があります。
ファストイーサネット
[Fast Ethernet]
ファースト、ではありません。
ギガビットイーサネット
[Gigabit Ethernet]
ネット助手ネット君の今日のポイント
  • イーサネットは半二重通信方式である。
  • スイッチを使用すると、全二重通信が可能になる。
  • 100Mbpsのファストイーサネット、1000MbpsのギガビットイーサネットもIEEEで標準化されている。
  • ファスト、ギガビット両方とも、イーサネットと下位互換性がある。

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管理人:aji-ssz(at)selene.is.dream.jp