■ PKIとその背景
おね〜さんと、
ほげたんのっ!!
3 Minutes Networking、
Supplement !!
さて、ほげたん? 今回からは、PKI、をやりましょう。
あー、はいはい。PKIね。
あら、ほげたん知ってるんだ、PKI。じゃあ、PKIって何?
「公開鍵基盤」でしょ。
それは「Public Key Infrastructure」を日本語にしただけね。
もうちょっと具体的に?
え? ん〜〜〜っと、電子証明書とか、認証局とか、そういうの?
電子証明書とか、認証局がなんで「基盤 [Infrastructure]」なの?
そそそ、それは、インフラだから!?
いや、インフラって基盤と同じだから。
はい、ほげたん、残念〜。♪ちゃらっちゃらっちゃー♪
あー、僕のスーパーヒトシ君がー!!
今は「金のヒトシ君」とからしいわよ。 ▼ link
それはともかく、PKIってよく使われる言葉なんだけど、いまいちなんで「基盤」「インフラ」なのかがわかっていないわけでね。
ん〜、確かにそうかも、「PKI」って言葉がわりと一人歩きしてる感じ?
用語検索サイトとかを見ても、こう、なんかしっくりこないわけね。「公開鍵暗号を用いた技術・製品全般を指す言葉」って言われてもねぇ。PKIは「技術・製品」を表す「総称」じゃないの。ちゃんと「インフラ」だから、公開鍵「基盤」なの。
そーなの? なんで?
それは今回の最後でも話すけど。さらに「公開鍵暗号」「CA」「電子署名」などの技術を説明していくとより理解できると思うわ。
というわけで、今回からはこの話ね。
了解了解。
まず、今回のPKIの話は、IPAのコンテンツを参考にしています。ありがとう、IPA。 ▼ link
んん? 珍しいね、参考元こんな文中で説明するの。
ちょっと諸事情があってね。ちなみに、参考リンク読めばこっから先は読まなくてもいいわよ。何気にすごくデキがいいから。
……じゃあ、こんな講座やらなきゃいいじゃん。
そう言わないでよ。がんばってIPAの資料よりわかりやすくするからさ。
ん〜、ならばよし。
なんでアンタそんなに偉そうなの? 後で覚えときなさい。
ともかく、近年のインターネットの普及のおかげかなんかしらないけど、電子商取引が非常に拡大してるわけね。
してるね。Amazonとかなかったらパパさん生きていけないよね。
ん〜、まぁAmazonみたいなコンシューマ向けのもあるし、企業間の取引も電子化してるわけね。えと、2004年までの資料しかないのね、ま、いいか。
2004年で102兆6,990億円、電子化率は14%、6年前の1998年が8兆6,200億円。
12倍?
一般コンシューマ向けは5.6兆円。2000年が8000億円だから、8倍ね。
あ、これは総務省の情報通信白書からね。 ▼ link
しぶいところから情報ひっぱってくるね。
そう? 白書って面白いわよ。一度目を通しておくと、なかなかいいわよ。
ま、ともかく、他にも日本政府は「電子政府」を目指して行政の電子化、まぁ書類とかを電子化するのをやってるの。e-Japan戦略の1つね。 ▼ link
はー。それにしても「首相官邸 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)」ってカッコイイ名前だよね。
電子署名法とか、IT 書面一括法とか、そっち系の法律も増えてきて、ま、そういう環境になって、実際、電子商取引が増えてるって話なわけね。参考リンクは電子署名法ね、「電子署名及び認証業務に関する法律」がホントの名前。ってそれにしても今回参考リンク多いわね。▼ link
これでも少なくしている方らしいよ。
さて、そんな電子商取引が活発になってるのはいいとしても、問題があるわよね。
あるの?
簡単に言えば、電子商取引は通常の商取引をまるっと電子化するわけよね。
前も話したかもしれないけど、電子化って要は「今まで文書とかでやってきたシステム」をそのままコンピュータに移しただけだから。
まぁ、そうだね。
つまり、電子化しても文書などと同じことができないと困るのよ。
なるほど。
ここで問題になるのが、セキュリティ。文書では問題にならなかったことが問題になるのよ。
ふむ〜、例えば?
■ ネットワーク上の脅威
文書でやりとりを行えば存在しなかった、もしくは危険性が低かった脅威がネットワークでは起き得るの。
脅威?
そう、ネットワークを使った取引を脅かす・無効にさせる脅威ね。
これは大きく分けて、4つ存在するわ。
- 盗聴
- 改ざん
- なりすまし
- 否認
「盗聴」「改ざん」「なりすまし」「否認」?
そう、その4つ。
順番に説明してきましょう。まず盗聴。
[FigureSP14-01:脅威:盗聴]
……この黒いのなに? なんかマフラーしてるけど?
ブラックほげたんよ。黒いニセモノは黄色いマフラーをするのが日本の様式美なの。
様式美ねぇ。
ともかく、このようにインターネットのようなオープンなネットワークでは第三者に見られてしまう危険性があるわけね。
これはインターネットだけじゃなくて、社内LANとかでもいえるわけだけど。
う〜ん、そっかぁ。流れてるデータを見られちゃうこともあるわけかぁ。
もちろんこれだけで電子商取引に影響がでるわけじゃないけど、情報を知った側によって何かの悪意のある行動がとれるわけね。
僕のクレジットカード番号が盗まれたら、僕の名前と支払いで買い物されちゃうよ。
まぁ、他にも取引の内容を知られたくないことだっていろいろあるわけね。
次の脅威が「改ざん」。
[FigureSP14-02:脅威:改ざん]
これの問題は、データは容易に改ざんできるという点と、改ざんされたことがわからないこと。
紙は改ざんされにくい媒体なのに対し、データはそうはいかないってのがこの脅威のポイントね。
紙って改ざんされにくいの?
うん。紙に書かれたものは、完全には消しにくいし、筆跡、筆圧などもあるしね。それに、紙は劣化するでしょ。劣化するから、作成されてからの時間もわかるわけ。
あー、なるほど。「これは昭和××年の文書です」って言って、真新しい紙だったらバレるもんね。
そうそう。でも、データは痕跡なく改ざんが可能なの。
なるほど。でもこの改ざんは凶悪だよね。商取引とか言ってられないじゃない。
でしょ。
3つ目が「なりすまし」。
[FigureSP14-03:脅威:なりすまし]
……詐欺?
まぁ、なりすましによって詐欺もできるよね、って話ね。他にも、なりすまして重要な情報を入手したりとかできるし。
「銀行ですが、パスワードを変更する必要がありますので、現在のパスワードと変更したいパスワードをお教えください」とか言ったりして。
フィッシングだ!!
そう、フィッシングもなりすましによる詐欺よね。
あとは偽メールなどで、悪い行動することによって、なりすました会社や人の悪評を立てたりとか。
なるほど、そういうのもアリなわけだ。
そ。これは商取引にとってわりと困るわよね。誰と取引してるかわからないってことだもの。
さて、最後は「否認」。
[FigureSP14-04:脅威:なりすまし]
ええええぇぇぇ、こんなんアリ?
アリでしょ。「改ざん」や「なりすまし」が存在するんだったら、このブラックほげたんの言い分は正しいわ。
でも、こんなことされたらさ、商品を送るだけ損じゃない。
そゆことね。まともな商取引ができるわけないわ。
だよね。
■ PKIとは
じゃあ、どうやってこれらのことを防げばいいのかしら?
電子商取引の元になっている、もともとの紙などを使用した商取引ではこれらのことを防いでいたからそれは成り立っていたわけよね。
そうだよね。いままではちゃんと商取引できたわけだし。
でしょ。じゃ順番に対策を考えましょう。「盗聴」を防ぐにはどうすればいいのかしら?
どうやったら悪意のある人物に文書を見られず相手に渡せるのかしら?
手渡し?
うんうん、手渡しは有効よね。でも、電子商取引の優位点の1つは「場所を選ばない」ところだから、必ず手渡しってわけにはいかないわ。
他には?
郵便? 郵便の人が悪意があるってのはナシね。
うん、郵便は確かに機密性が高いわね。でも郵便も、電子商取引では使えない。
じゃあ、どうする? 自分と相手だけ内緒話をしたい場合は? 軍隊などが使う手は?敵にバレないように命令をしたいときは?
…軍隊? 軍隊が敵に知られず命令を伝えたいときは………、暗号化だ!!
そゆこと。暗号化によって、自身と相手にだけわかる内容にしてしまう。これよね。
だよね。
じゃあ次。「改ざん」を防止したい場合は? これは契約書なんか知ってるといいと思うけど。
んん?
これはね、「割り印」なんかを使うのよ。2つの紙を重ねて印鑑を押すの。
あー、なるほど。割り印が重ならないと、正しい文書とはいえないわけだね。
そうそう。でも「割り印」は使えないので、同じ文書を2つ送るっていう手法をとるの。
送った2つが一致しないとどちらかが改ざんされたことになるわけね。
あぁ、なるほど。
……でも、2つとも改ざんされたらどうするの?
そこはひとひねりいるんだけどね。電子商取引ではデータのダイジェストの送付っていう手段をとるわ。
へー。ダイジェスト。
ダイジェストは改ざんされないの?
ま、その話はおいおい話すわ。
最後の「なりすまし」「否認」は根っこが同じよね。これを防ぐには?
これはわかるよ。本人であることを証明させればいいんだから、「署名(サイン)」や「印鑑」を文書にすればいいんだよ。
そう、本人証明、つまり認証ね。
- 盗聴 …… 暗号化
- 改ざん …… データのダイジェストの送付
- なりすまし・否認…… 認証
これらのことがなされなければ、安全な商取引はできない。
これら脅威の対抗策としての技術が存在するんだけど、PKIとはその技術を利用可能な環境基盤のことなのよ。
その技術を利用可能な環境基盤? ちょっと意味がよくわからないよ。
これは先々で説明していくから、そのうちわかると思うけど。
暗号化、認証を誰でも使用可能な状態におき、その正しさを証明できるバックボーンがPKIなのよ。
バックボーン……、だから基盤、インフラってこと?
そう、PKIは特定の技術や製品を示す言葉じゃなくて、それらが使える環境基盤を指す言葉なの。
もっとぶっちゃけると、公開鍵暗号化を正しく使える基盤かな?
公開鍵暗号化……それを正しく使える基盤……。
ま、今はまだわからないかもしれないけどね。
ってことで、また次回。
あいあい。
おね〜さんと、
ほげたんのっ!!
3分間ネットワーク、
サプリメントでした〜〜〜っ!!
あ、忘れてた (ボクッ!!)
ぐはっっ!! きゅ、急に何で?
さっきの。
- PKI
-
[Public Key Infrastructure]
「公開鍵基盤」と翻訳される。読みは「ぴーけいあい」。
- IPA
-
[Imformation-Technology Promotion Agency,JAPAN]
独立行政法人、情報処理推進機構。プログラムの開発や利用促進、研究開発などを行う政府関連機関。ご存知、情報処理技術者試験もココがやってます。日本のソフトウェアやセキュリティの元締め?の1つ。
読みは「あいぱ」。
- フィッシング
-
[phishing]
正規の企業などになりすましたメールやWebサイトにより、個人情報などを入手する詐欺手法の1つ。
- ほげたんの今日のポイント
-
- 電子商取引は年々増加している。
- 今までの商取引で問題にならなかったセキュリティの問題が電子商取引には存在する。
- 電子商取引を脅かす・無効にさせる脅威がある。
- 盗聴・改ざん・なりすまし・否認の4つ。
- 暗号化・データのダイジェスト送付・認証で対向する。
- 脅威の対抗策を正しく利用可能にするインフラがPKI。
- 電子商取引は年々増加している。
- 参考リンク
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- TBS 世界ふしぎ発見!http://www.tbs.co.jp/f-hakken/index-j.html▲
- IPAhttp://www.ipa.go.jp/▲
- PKI関連技術解説http://www.ipa.go.jp/security/pki/index.html▲
- 総務省 情報通信白書 平成18年版http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/whitepaper01.html▲
- 首相官邸 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/index.html▲
- 電子政府の総合窓口http://www.e-gov.go.jp/▲
- 電子署名及び認証業務に関する法律http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO102.html▲